球際でいかに甘くならずに返球できるか。
これは、試合での強さに直結する重要ポイントです。
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左右に動かされるとどうしても返球が甘くなっちゃう…
どうやったら厳しい体勢でも上手くディフェンスできるの?
という悩みを持っているあなたに向けて、
「体勢の厳しさレベル別の切り返しパターン&コツ」
を挙げていきます。
鮮明にイメージできるよう、参考動画&見どころも載せてありますよ。
ここでは4つのパターンを紹介します。
これらの基本的な動きを手持ちのカードとして持っておけば、色んな場面で対応できて安定感が増します。
まだ持っていないカードがあれば、手に入れておいてください。
※記事内で左右を表すものは右利きに合わせて表現しています。サウスポーの方は左右逆に読み換えてください。
目次
1.オープンスタンスで切り返す
(厳しさレベル: ★☆☆☆☆ )
まずは、
「走らされたけど、何とかノーマルなストロークの形でしっかり打てそう」
っていうくらいの状況をイメージしてください。
このとき、オープンスタンスで切り返すのが有効です。
攻守のバランスが取れていて、すごくスタンダードな返し方です。
使用頻度はこの中でいちばん高いですね。
- 通常のフォアと同じように力強く打つことができる
- 身体のバランスが崩れにくく、打ったあと戻りやすい
打ち方でポイントになるのは↓の2つ。
- 足の運び方
- 上半身の使い方
足の運び方では、外側の足(フォアハンドなら右足、バックハンドなら左足)がポイントです。
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具体的には、こんな流れです。
この動画を参考にすると、より具体的にイメージできます。
見るポイントは↓のとおり。
再生速度を一番遅い0.25倍にして、巻き戻して繰り返しながらじっくり見てみてください。
- フォアハンド→ 1:34
シュワルツマンのクロスのリターンに対して、錦織がオープンスタンスでクロスに切り返しています。 - バックハンド→ 2:44
メドベデフの逆クロスのフォアハンドに対して、錦織がオープンスタンスでクロスに切り返しています。
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③元のポジションに戻るステップについては、
- フォアハンドは反復横跳びの動きで外側へステップ
- バックハンドは軸足だけでもう一歩外側へステップ
という感じですね。
もうひとつ、上半身のポイントは
「走りながらでも肩を入れてしっかりボールを呼び込むこと」
です。
これも、動画を見ても錦織選手はしっかりできているのが分かりますね。
横に振られながらだと、
「甘くならないようにしなきゃ!」
って気持ちから相手のことが気になってしまって、打つ前から身体が前を向いてしまいやすいんですよね。。
こうなってしまうと、かえって甘い返球になってしまうので注意しましょう。
2.ランニングショットで切り返す
(厳しさレベル:★★★☆☆ )
さっきよりもう少し厳しくて、ボールに飛びつくような形になった場合を想像してください。
「オープンスタンスではちょっと対応しきれないけど、パワーのあるショットで返したい」
と思ったら、このランニングショットが有効です。
- オープンスタンスよりもリーチが長くなって、届く範囲が広い
- 相手の意表をついて形勢逆転することも可能
- オープンスタンスより2~3歩くらい余分に外へ出されて戻りが遅くなる
体重をコート外側に向かってボールに預けていくような打ち方なので、戻るのが遅れるデメリットがあります。
ただ、オープンコートや相手のボディに強く叩ければ、返球が少し浮いてくれる可能性が高くなります。
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具体的な打ち方ですが、考え方はシンプル。
ボールに向かって走っていって、
- フォアは「右足→左足」と踏み込むタイミングで打つ
- バックは「左足→右足」と踏み込むタイミングで打つ
ということです。
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さっきの動画で、↓のショットを見てみてください。
- フォアハンド→ 1:47
メドベデフのストレートのリターンに対して、錦織がランニングショットでクロスに切り返しています。 - バックハンド→ 2:58
錦織のストレートのフォアハンドに対して、シュワルツマンがランニングショットでクロスに切り返しています。
ちなみにこの例だと、フォアハンドは回転を多めにかけてディフェンスしていますね。
状況によっては、高い打点でフラット気味にボールを引っぱたくカウンターショットで攻撃するのもアリです。
流れとしては、次のようになっているのが分かるでしょうか。
フォア、バックともに、「最後まで身体を開かずに振りぬく」というのもポイント。
特にフォアは通常では身体の回転を使って打ちますが、ランニングのカウンターショットではフィニッシュまで身体を開かないようにしましょう。
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3.スライスを使って守る
(厳しさレベル:★★★★☆ )
ランニングショットよりも「守り」を重視してミスを避けたい場合は、スライスを使った返球が有効です。
- コンチネンタルグリップで握るので、より遠いボールにも対応できる
- ゆっくりしたボールになるので、追い出されても戻る時間を稼げる
- 工夫しないと相手にとってチャンスボールになりやすい
また、さっきの動画でサンプルを見てみましょう。
- フォアハンド→ 8:29
ゴファンのワイドのサーブに対して、錦織がスライスでストレート気味に深く返しています。 - バックハンド→ 3:52
錦織のダウンザラインに対して、デミノーがスライスでクロスに返しています。
この例は「ギリギリ」って感じでもないので、クローズドスタンスで踏み込みながらのスライスになっていますね。
もっと厳しいときは、フォアの場合は右足のほうを大きく出してラケットを伸ばすのもアリ。
そのほうがランニングのカウンターよりも遠くまで届くケースもあります。
「なんとか届いた」という余裕がない状況ですが、できれば
- 深く返すのか?
- 低い弾道で返すのか?
- ロブを上げてしまうか?
というのを素早く判断しましょう。
中途半端に打ってしまうと、余計に甘いボールになりやすいので。
シングルスの場合、相手が後ろにいる場合はそんなに慌てなくても大丈夫です。
なるべく深く返して戻る時間を作るか、低い弾道で返すことができれば、次のボールを厳しく打たれにくくできます。
ダブルスの場合、ギリギリ届いてスライスで返すならロブにしてしまったほうが得策ですね。
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ダブルスでもシングルスでも、相手が前に詰めてきたケースでは「浮いたボール」は厳禁。
ボレーで決められてしまいます。
この場合、スライスでの返球の考え方は次の3つ。
- 相手がネットにベタ詰めしている
⇒スライスでロブを深く上げればわりと簡単に抜ける - 相手がサービスライン前後くらいにいる
⇒浅くスライスを運べれば足元で打たせられる - スライスの構えからはクロスを連想しやすい
⇒裏をかいてストレートにスライスを運べば、相手の横を抜ける可能性が高い
ただし、②③は難度高め。
そのためダブルスの場合は、やっぱり高いロブを上げてしまうのがコスパ良いですね。
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4.ロブを高く上げる
(厳しさレベル:★★★★★ )
これは
「もう本当にギリギリでとにかく返すしかない!」
というような、ピンチ度MAXの状況。
そんな時はロブで逃げるのがベストです。
厳しすぎる場面では「返すだけ」になるはず。
このときは上に向かって思い切り打ち上げるイメージで、とにかく高く深く上げるのが最善策。
もしくは、
斜め下方向に向かって思い切り振り抜いてスライスロブを上げるのもかなり有効。
滞空時間が長くなるうえにボールが揺れるので、スマッシュがより難しくなります。
これで、とりあえず戻る時間は十分に稼げます。
次に相手が打ってくるであろうグランドスマッシュやストロークに備えましょう。
- ミスってくれたり甘くなってくれる
- バウンドさせて通常のストロークで返してくれる
ダブルスの場合は、すぐさま前にいるペアに
「下がって!」
「ケア!」
「上げたよ!」
などの声かけをしましょう。
2人揃って下がってしっかり備えれば、一発で決められる確率をより下げることができます。
といっても、高いレベルまでいくと相当上手いロブ以外は「決めて当たり前」の世界になってきます。
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まとめ:「予測」と「反応」を磨けば余裕ができる
今回は、厳しい体勢で上手くディフェンスをこなすための考え方をシェアしました。
大事なポイントをおさらいしましょう。
- オープンスタンスの切り返しは攻守のバランスが良い
- ランニングのカウンターは意表をつけるがリスクもある
- スライスでの切り返しは守りに最適だが使い方には工夫が要る
- ロブは高く深く返せれば危機を乗り切れる可能性が高い
- プロ選手のステップ、ラケットワークをじっくり観察しよう
ひとつ忘れちゃいけないのが、
できるだけ厳しい体勢にならないように「予測」と「反応」を磨くこと
です。
予測は、ラリーの状況、相手の体勢、フォームを見て「次どこに来るか」をいち早く察すること。
反応は、細かく足を動かして、相手が打った瞬間に1歩目を出せるようにすること。
こういった部分は、「いかに場数をこなしたか」が大きいです。
普段から意識していれば、だんだんと感性が磨かれていきますよ。
それでも追いつけない場面も当然あるので、そのときに柔軟に切り返せるようにじっくり練習していきましょう。
今回はここまで!
またきてね;)