「センスが良い」
「センスが無い」
よく、そんなセリフを耳にします。
- センスって無きゃいけないの?
- センスって生まれつきのものなんでしょ?
って言いたくなるところですよね。
まず、「無きゃいけないのか」で言うと
「テニスではセンスも大事」
というのがホントのところです。
そして、「生まれつきものなのか」。
こっちのほうが大事で
センスはあとからでも身につけられます。
「センス」というと
- 天性のもの
- 神秘的な才能
みたいなイメージをしがちですが、そうじゃないんです。
というか、生まれつきの天才なんてそうそういるもんじゃありません。
あなたの周りにいる「センスの良い人たち」。
その人たちは例外なく、自分で行動してそれを身につけてきているはずです。
そうは言っても、↓みたいなときに「自分ってセンスないのかな」と感じちゃうんですよね。
- 練習してもイマイチ上達している実感がない…
- 苦手なショットがいつまでたっても上手く打てない…
でも大丈夫、安心してください。
今回は「こうやればセンスは誰でも身につくよ!」という説明をしていきます。
- センスの良い人になりたい!
- 上手くなって自由なプレーを楽しみたい!
という人に向けて、
「センスって何?」
という本質的なところからお話しします。
順を追って理解していきましょう。
「どうせ自分はセンスが無いから…」なんて匙を投げちゃ勿体ない。
センスが高くなってくると、テニスの面白さは2倍、いや3倍はカタいです。
目次
センスは基礎の積み重ねでしかない!
まず、センスとは何かを正しく理解しましょう。
テニスでいう「センス」を一言で表すなら、
「引き出しの量」
です。
noren
決して
「必殺ワザのような派手なショットをたくさん持っているか?」
みたいなことじゃありません。
「場面に合わせてやるべきことをやる」。
センスが良い人たちがやっているプレーは、華やかに見えて、実はそういう基礎的な力がベースになっています。
その基礎をつきつめていくと、だんだんプレーに
「懐の深さ」
が出てきます。
例えば、こういうプレーをする人を見たときに「センスがいいな」って感じませんか?
- ボールのタッチが良い(=球感)
- ボールへの入り方がきれいで「溜め」がある(=間合い)
- テンポを速めたり緩めたり自由(=リズム)
- やわらかい、しなやか(=フォーム)
- 独創性があってアイデアが豊富(=ショットの選択)
これこそ、センスの良さ(懐の深さ)です。
こういうのって、「ド派手な必殺技を持っているからできる」ってことじゃないんですよね。
どんな場面でも
- リラックスする
- ボールをよく見て呼び込む
- 足を動かす
- 相手の動きを見る
のような、基礎をきっちりこなしているからできる業なんです。
こんなふうに、センスのもとになっているのは特別なものじゃないです。
そして身につけるために必要なことも、基本的なことばかり。
努力は必要なものの、
- テニスを楽しむことができれば、努力は自然とできる!
- 努力ができてセンスを身につけられない人はいない!
- センスは「0か100か」じゃなく、だんだん良くなるもの!
というのを忘れないようにしましょう。
でないと、「自分には関係ない」とシャッターを下ろしてしまいます。
noren
センスを磨く=「インプットとアウトプット」の量
「センスは、一部の人間にのみ許された神秘的な能力なんかじゃない」
というのは納得できましたか?
話を次に進めますね。
noren
です。
ここまでは
- センス=引き出しの量
- 引き出しの量=懐の深さ、プレーの柔軟さ
と説明しましたよね。
つまり、「センスが良い人」になるには
引き出しの量を増やして、懐の深い人になれば良い
っていうことになります。
じゃあ、どうすればその「引き出し」を増やせるのか?
ここが今回のメインディッシュでございます。
インプットとアウトプットを大量に積み重ねること
これに尽きます。
直訳すると、「入力と出力」。
これだけだとよく分からないと思うので、言葉の意味を説明しますね。
- インプット
=動画や雑誌を見たり、人から話を聞いたりアドバイスをもらったりして、情報を仕入れること - アウトプット
=インプットによって得た情報をもとに「こうやってみよう」と簡単なアイデアを作って、それを実際に試す(実験する)こと
一見、ごく普通のことのように思えるかも知れません。
でも、その「普通のこと」をずっと続けていって「大量にこなす」っていうのがミソです。
ポイントを7つ順に挙げていきますので、気になったものはぜひ取り入れてみてください。
1.「変わろう」という意志を持って、変化を楽しむ
この意志は、まず最初に絶対必要。
これがないと、頑張って練習しているつもりでも、自分自身の中で変化を感じられるタイミングが来ません。
当然、変化が無ければ、センスが良くなっていくことはありません。
- 「いずれ良くなってくだろう」と常に受け身の姿勢
- 「誰かに何とかしてもらおう」と他人に頼りすぎる
のような状態では、良いセンスを身につけるのは結構ハードル高いです。。
noren
という思いを持つことが大事です。
「楽しむ」ことを忘れるとなかなか頑張れないので、その原点も忘れずにいましょう。
2.好奇心を持って、アンテナを張る
センスの良い人はみんな好奇心が旺盛です。
自分よりも良いショットを打っている人を見て、
「あのショットはどうやって打ってるんだろう?」
と考えます。
次に
「自分がやっていない部分、マネできる部分はどこかな?」
と考えて、その打ち方や身のこなしをよく観察します。
この視点をいつも持って、良い情報を得るためのアンテナを高く張りましょう。
※上手い人のマネについての「よくある勘違い」を↓の記事に書きました。
テニスが上手な人を真似して上達したい人が聞いてはいけない「世間の常識」3.できるだけレベルの高いテニスを参考にする
良い情報をゲットしようと思うと、必然的に自分より上手で且つ魅力的なテニスに行き着きます。
テニスをやっていると、本当に色んな人が色んなことを言うんですよね。
noren
それら全部を取り入れても良いんですが…
ある程度やってみてピンとこないものは結局身につかないので、無理にやり続ける必要はありません。
個人的には、
プロ選手や周りにいる上手な人で、かつ自分がつい惹かれてしまうプレーをする人
をターゲットにすることを強くオススメします。
その人が実際に打っているのをよく観察して、イメージを刷り込みましょう。
4.単なる知識ではなく、生きた情報をゲットする
テニスのセンスは英会話と似ているなと感じることがあります。
学校の英語の授業って、
- 文法、単語や文章の意味なんかを先生が説明する
- それを僕ら生徒が聴く
というのが大部分でしたよね。
それよりも、
- ネイティブの人が「生きたセリフ」を実際に話す
- それを聴いて、そのまま真似をして実際に口に出す
- その上で、言葉の意味や文法を知る
ってやったほうが深く理解できるし、別のことを言いたいときにも応用が利くし、会話力がアガると思いません?
noren
これは、テニスも全く同じことが言えます。
「誰かから聞いた打ち方やコツの話をコピペで持っているだけ」
では応用が利かないです。
自分の引き出しが増えることにならないんですよね。
上手な人たちが、実際の試合で刻一刻と変わる状況の中、どんな動き方をしているのか。
その「生きた技術」をよく観察して真似することで、いろいろな場面に対応できる力がついてきます。
例えばフォアハンドストロークで「生きた技術」って考えると、↓のようなものですね。
- その場でしっかりと構えて、ベースライン上から深く叩き込む
- バック側に飛んできたスライスに対して、回り込みながら低い打点から強力なスピンをかける
- 横に走らされながらの、ランニングショットによるカウンター
- オープンコートができた瞬間にタイミングを早めて時間を奪う
- 深く弾んでくるボールに対して、下がりながらでも相手のバック側に弾ませてクリア
- 浅いボールに対して前に踏み込みながらアプローチを打ち込む
- チャンスボールが浅く上がってきたときに高い打点でひっぱたく
- ストロークの構えからグリップを握り替えてドロップショット
こういうのを観察するのに、YouTubeやテレビで観るプロ選手の試合はホントにピッタリです。
巻き戻したり一時停止しながら、好きなタイミングで好きなショットを何度も見ることができるというのが一つ。
しかもその道のプロが実際にやっている最高の技術なわけなので、研究材料としてはこれ以上ないです。
noren
5.感受性を高く持って「感触を盗む」イメージで観察する
良いプレーを観察するときのコツは、
そのプレーヤーに「のりうつる」イメージを持つこと。
センスの良い人はモノマネが上手なことが多いです。
これは人のプレーを見たとき、あたかも自分のことのように感じることができるから。
人のプレーを観察するクセを続けていると、自然とそういう視点が生まれてきます。
この見方ができるようになると、その人が打ったときに感じている打感や気持ち良さまで伝わってきます。
そうやって、上手な人の「感触」を盗みましょう。
すると、その感触を自分で再現しやすくなって、良いセンスがどんどん身についてくるのを実感できますよ。
noren
6.アウトプットは自分で理解できるまでやる
とにかく行動が大事。
レベルが高い人の「生きた技術」を観察して「真似したいこと」を見つけたら、コート上でどんどん試していきましょう。
そのときに意識したいことは、
- 身体やラケットをどう動かしたか?
- その結果としてボールがどうなったか?
この2つの関係を自分の頭で感じること。
ただやってみただけ、では自分のものになりません。
センスの良い人は、自分の頭を使って自分で理解したものをたくさん持っているから引き出しが多いんです。
どんな打ち方が一番しっくりくるかは、人によって少しずつ違います。
全員が同じところを同じように意識すればいいわけじゃないんですよね。
なので、自分の身体の声をしっかりと聴いて、小さなことでも良いので
noren
っていう発見をすることが大事です。
たくさん発見をして、
「どこをどう意識して打つとどういう球になるのか、自分の中で合点がいく」
までやり込んでいきましょう。
「この体勢からこういうショットを打ちたかったら、こんな感じでボールに入ってこのタイミングでここをこうして…」
と、つらつらとコツを説明できるくらいに自分のことを理解できれば完璧です。
7.とにかく量をこなして自分の理解を深める
当たり前ですが、テニスはボールを打ち合うスポーツ。
その中で色んな要素が絡み合って、無限と言っても良いくらいの場面が存在するスポーツです。
- 相手のボールの速さ、重さ、コース、回転、弾道はどうか?
- それに対して自分がどこにどんなボールを打ちたいか?
- そのボールを打つためにどんなスタンスでボールに入るのか?
- 打ったあとはどんなステップを踏んでどうやって次の動きにつなげるか?
- ボールの種類やへたり具合はどうか?
- どんなサーフェスか?(同じ種類でも速い遅い等がある)
この奥深さも、テニスの醍醐味のひとつですよね。
つまり、似たような場面はあっても、全く同じ状況というのはあり得ません。
勿論、「どれか一つだけの要素に絞っておおまかにパターン化して考える」ことはできます。
だけれど、例えば「打つコース」っていう一つの要素に絞るとしても、
「クロスに打とうとしているそのボール」
は、どんな角度やスピードで飛んできていてどんな回転がかかっているのか?
それは打ち合う相手によっても全然違うし、同じ人が打ったボールでも一球一球変化があるはずです。
その無数の場面に対応する力をつけるために必要なのが
大量のインプットとアウトプット
というわけです。
- 良い情報を仕入れて実践すること
- 「これだ」と思える瞬間を見つけに行くこと
- その発見を大切に、自分なりのコツを一つずつ増やしていくこと
これを気長にやっていけば、自分が自信を持って対応できるパターンがどんどん増えていきます。
noren
と、7つのポイントを説明しました。
このあたりは↓の記事でも詳しく取り上げているので、もっと読みたい方はどうぞ。
テニスのメンタルトレーニング②:「普段なにを考えているか」良い練習相手から良い感覚をもらうのも大事!
センスを良くしていけるかどうか。
それは自分だけじゃなく、練習相手も大いに関係しています。
「良いセンスを持った人と打ち合う」っていうのも大事なんですよね。
練習相手のフォームや身のこなしには、自然と影響を受けるものなので。
その影響というのは
- 目で見たものは、自然と強くインプットされる
- 打ち合う時のリズムやテンポ感が肌に伝わる
ということです。
視覚情報は、脳内のイメージに大きく影響します。
それだけに、
- 打ち方が不安定
- クセが強すぎる
という感じの人とたくさん練習するのはちょっとキケンです。
もちろん試合ではそういう相手とも戦わなきゃなりませんが…
あくまで「自分のセンスを磨く」という目的で練習したい場合は賢明ではないです。
なぜかというと、テニスでは、「リズム」も思った以上に大事だから。
相手が良いリズムで打てていると、こっちも調子が上がりやすいなって感じませんか?
この状態だと、自分のアウトプットの効率がすごく良くなります。
反対に、リズムが悪い相手とばかり練習していると、試したいことがなかなかできません。
これを踏まえて、練習相手にはできるだけ次のような人を捕まえましょう。
コントロールが良くて、安定している
ミスが少なくて、ラリーに良いテンポが生まれます。
反対に、荒っぽくミスが多い人、特に強打ばかりで相手のことを考えない人とはあまり練習になりません。
ボールを厚く捉えて、低い弾道で打ち合える
これは上手な人の共通点。
リズムの良いラリーができて調子が上がります。
弾道が高すぎるボールしか打てない人との練習では、良い感触をつかむのは困難。
noren
どのショットも、ある程度こなせる
自然と自分もプレーの幅が広がっていきます。
プレーの幅が狭い人とばかり練習していると、こちらも良い刺激やヒントを得にくいです。
ん?
ちょっと待てと。
「センスが良い=リズムの悪いテニスや打ちづらいボールに対しても柔軟に対応できる」
っていうのと矛盾してるじゃねーか!
そう言われそうなので弁明させてください。
なにも、こうした「良い相手」だけが練習相手としての価値がある、と言いたいわけじゃないんです。
ここで言いたいのは
「練習相手によって、鍛えられる部分は違うよ」
ってことです。
- センスを磨くためのベースとなる部分は、できるだけ良い練習相手を選んだほうがよく育つ
- リズムが悪いテニスやクセのある人とのテニスでは、自分にどのくらい対応力や柔軟性が身についたかチェックできる
ただ、理想的な練習相手に巡り合えるかどうかって、正直言って運の要素もあります。
それに、今一緒に練習している気の合う仲間と一緒に汗を流すことに人生の彩りを感じている方も多いでしょう。
そのあたりは、
- 自分のやりたいこと
- 自分の価値観
なんかと相談しながら、自分が喜べるように行動を選択していくのがベストではないかと思ってます。
「運動神経が良い」は必要条件じゃない!
よく「運動神経がない=センスがない」と思っている人がいますが、これは誤解です。
むしろ運動神経があまり良くない人のほうが、良いセンスを持てる可能性を秘めています。
確かに、運動神経の良い人は経験が浅くても上手に打てることが多いです。
が、それゆえに感覚に頼ろうとし過ぎてしまうこともよくあるんです。
もっとキケンなのは、
noren
と思っている自称・感覚派の面々。
本当にセンスを磨きたいのなら、そんなふうに「本質」を探し求めることを放棄してる場合じゃありません。
そういう「感覚的な部分」も、センスの一部ではありますよ。
ただ、それだけでは
テクニックに深さがなくて、いざという大切な場面での強さに欠ける
という面があるんです。
noren
「テクニックの深さ」というのは
- 色々な相手に臨機応変に対応する力
- 上手くいかないときに修正したり戦法を変えたりする力
を言います。
さあ、ここでクエスチョンです。この力は
- 運動神経や感覚だけで満足している人
- 意識をもって試行錯誤した経験値を積み上げた人
で言うと、どちらが高いでしょう?
もちろん、
「②努力してセンスを磨いてきた人」のほうが圧っっ倒的に上です。
僕も、昔から運動神経はそんなに良くないほうでした。
小学校の頃は野球部、サッカー部、陸上部、水泳部とひととおりの部活をやったんですけど…
何一つとしてレギュラーにはなれなかったですし、本当にパッとしないヤツでした。
noren
でも、中学・高校では部活を通してテニスにハマって、
ウィンブルドンなど四大大会でプレーする選手をテレビで録画して見まくっていました。
それこそビデオテープ(いにしえのVHS)が擦り切れるんじゃないかってくらい、何度も何度も。
それをマネして練習しているうちに
- 上手い人のプレーを観察しては実践して、ワザを盗む力
- 研究して自分でコツを見つける力
を磨くことができたからこそ、今があるなって感じてます。
おっと、個人的な話になってしまいました。
何が言いたいかというと
運動神経に関わらず、インプットとアウトプットをたくさんやっていけば必ずセンスは良くなっていくよ!
っていうことです。
誤解のないように言っておきますが、
決して運動神経がもともと良い人や、経験が浅くても感覚の優れている人がダメという意味ではないです。
むしろそういう人こそ意識的にセンスを磨いていけば、鬼に金棒。
本当に脅威的です。
まとめ:センスを身につけられない人はいない!
今回は、「センス」をテーマにお話ししました。
要点をおさらいしましょう。
- センス=引き出しの量
- 引き出しの量=身体やラケットの動かし方の自由度
- センスを磨く=引き出しの量を増やす
- 引き出しの量を増やす=色々な場面に対応できる柔軟さを磨く
- インプットとアウトプットを大量にこなして、自分の理解をどんどん深めていくことがだいじ
- センスを磨くには、できるだけセンスの良い練習相手を見つけて良い影響をもらう
- 運動神経が無くても、インプットとアウトプットを続けていけばセンスは良くなっていく
行動をやめなければ、確実にセンスは良くなっていきます。
「自分にはセンスが無い」という思い込みだけは禁物ですよ。
自分を信じて、全力でテニスを楽しんでいきましょう!
今回はここまで!
また来てね:)