「パワー」と「コントロール」。
これは、テニスをする人間なら誰もが向き合う2つの命題といえるでしょう。
そりゃもちろん両方のステータスをMAXにできれば万々歳ですが、そう簡単にはいかないですよね。。
特に、経験が浅くて自分のプレースタイルがよく分からなかったり、歴が長くても不調が続いて迷走し出したりすると
「パワーとコントロール、どっちを優先すりゃいいの?」
って思う瞬間があると思います。
今回は、これについて解説してみたいと思います。
- どちらかに大きな課題があると感じている
- どちらも中途半端なので、どちらかを伸ばしたい
- 「これからどうするか」の指針を立てたい
という人は参考にしてください。
noren
自分に足りない部分に気づいたとき、僕らは大きな成長への入り口に立ちます。
目次
「まずはパワー、次にコントロール」がひとつの解
まず一つ言えることは、
「片方だけでも集中的に仕上げれば上のレベルでも勝てる」ということはありません。
もちろんそれでも「ある程度のところ」まではいけるし、テニスは十分楽しいんですよ。
が、より上を目指そうとすると、バランスが悪いとどう頑張っても必ず限界が来ます。
どちらもバランス良く磨いていくことが、オールラウンドで柔軟性が高い「強いプレーヤー」への道のりです。
その上で、僕個人としては
まずは強く打てる技術を身につけて、そこからコントロールを磨いていく
というのが理想だと考えています。
noren
「身体のパワーをボールに伝える技術」は全ての礎!
「まずはパワーが大事」と言っても、
「フルスイングでひたすら強打しまくるのが良いことなんだ!」
という誤解はしないでくださいね。
決してそういうことを言いたい訳ではないです。
まず、「パワーって何?」みたいな部分から理解を始めましょう。
「パワーのあるボールを打つ」のに必要なのは、↓のような要素です。
- 適度に脱力して、身体全体がしなるように動くこと
- タイミングよく力を乗せて、ラケットヘッドをスムーズに加速させること
- ボールをラケット面に厚く当てて、ホールドする感覚で打ち出していくこと
つまりは、こういうこと。
この能力は、すべてのプレーのベースになると言っても過言じゃないです。
つまり、いま挙げたことはコントロールを身につける上でも欠かせない要素。
それはどういうことかというと、
コントロールのもとになるのは、インパクトの瞬間にボールを持つ(ホールドする)感覚
なのです。
コントロールが悪い場合、インパクトを「線」じゃなく「点」で捉えちゃってるケースが多いんですよ。
noren
そのために必要なのが、さっき挙げた
「体をやわらかく動かす」
だったり
「厚く当ててタイミングよく力を乗せる」
という「パワーを出すための要素」とつながってくるわけですね。
パワーとコントロールは別個のものじゃなく、同時に磨けるものと考えましょう。
強く打てない人が強く打つほうが、その逆よりも難しい!
「大は小を兼ねる」ということわざがありますよね。
パワーとコントロールの関係は、それに似たところがあると感じます。
例えば、こんなのはどうでしょう。
- 強く打てる人が弱いボールを打つ
- 強く打てない人が強いボールを打つ
どちらが実現しやすそうでしょうか?
…圧倒的に①だと感じませんか?
後者は、文章に起こしてみただけでだいぶ無理っぽさを醸し出してます。
(「コントロールする=弱く打つ」という式は必ずしも成り立たないんですが、ここでは便宜的にそう表現しています)
だから、コントロールばかりを追求するあまりボールの威力を高めることをおろそかにし過ぎてると、
- フォームが凝り固まって、「エネルギー伝達の効率が良い動き」が身につかない
- どんどん「強いボールの打ち方を覚えにくい身体」になっていってしまう
というリスクがあるんですよ。
さっきも話をしたとおり、
パワーを出せる身体の使い方を定着させていくことで、コントロールも同時に磨く
というのを本気でオススメします。
「大きな声で話せる人が小声で話すことは簡単だ。でも声が小さい人が大きな声を出すのは難しい。普段からしっかり声を出そう」
という言葉をもらったことがあります。
これも、「大は小を兼ねる」お話。
力強いボールはそれだけで相手を追い込める優れモノ
パワーのあるボールを打てると、ラク。
もう、これなんです。
- 無理に厳しいコースを狙ったり緻密な戦略を練らなくても勝てる
- オーソドックスに打ち込んでいくだけで、どんどん相手を劣勢に追い込める
- 相手のボールが甘くなった暁には、簡単にチャンスボールを決められる
- 強いボールがあるとフェイントの効き目も倍増して、ポイント獲得率が上がる
ミスしないこと、コントロールはもちろん大事です。
でも、試合の真っただ中
noren
という人が果たしてどれだけいますかね?
ほとんどの場合、試合時間のうち50%~それ以上は
「コントロールしてる余裕は無い」
「ひとまず相手のボールに対応している状態」
なんていう印象がありませんか?
それもそのはず。
例え実力的に相手に勝っていても、ボールをコントロールするっていうのは簡単じゃありません。
- 緊張によって、完璧に普段通りには身体が動かない
- 普段やり慣れていない相手なので、ペースを掴みにくいことも多い
- 相手は基本的にこちらが打ちにくくなるように打ってくる
というように、色んな要因を体感しますよね。
そこで、ある程度パワーがあるショットを打てるとそれだけで随分と楽になるんですよ。
コントロールしきれない中でも、安全を確保しながら戦えるんです。
どういうことかというと、
「攻め粘り」
のような状態を作って、「堅い」テニスを展開できるということ。
それによって、ミスを避けながらも五分五分~優勢をキープする。
プロ選手や上級者の試合を見れば一目瞭然!「力強さ=安定」
プロ選手や上手い人たちの試合を見てみましょう。
すると、ラリーが続いている時は
「力強いスイングによる力強いショット」
が基本になっていませんか?
もちろん、時には
- 山なりのスピン系ショットを跳ねさせて、スピードや弾道に変化をつける
- スライスでペースダウンして、相手のタイミングをずらしつつ自分の時間を作る
のような感じで展開は逐一変わっていきますが。
でも、よほど追い込まれていない限りは
相手のパワフルなショットを、カウンター気味に速いテンポで力強く跳ね返していく
というスタイルが主流になっています。
そうなっている大きな要因は、
「速いボールには速いボールで応戦したほうが安定する」
ということ。
noren
コントロール信者たちは
「パワフルなショットをベースに戦うなんて、ミスが増えるから頭の良い戦い方じゃない!」
と主張しますが…
ハッキリ言います、それは違います。
しっかりとしたスイングでボールを積極的に「シバく」。
一度この感触を覚えると、それが一番安全だと痛感します。
noren
安全にいこうと置きに行って、スイングが鈍る。
かえってコントロールがきかず、終始気持ち悪いまま試合が進んでいく。
…イヤってほど経験ありますよね。
そうではなくて、
しっかりと全身を使ってしっかりと振り抜ける、心と身体のゆとり。
これを持つことで「ボールが自然とコートに収まってくれる」という感覚が大事です。
その結果としてテニスがどうなるかというと、
- 狙える時はしっかりコースを狙う
- 厳しいときはひとまず攻められないようなボールで様子を見る
- チャンスが来たら100%決まるところにボールを叩き込む
というのを、ある程度パワーのあるボールでやりくりし続けることができるんです。
プロ選手の打ち方はどうしてあんなに「カッコイイ」のか?
「パワフルに打つ」=「ダイナミックに打つ」とも言えます。
トッププロの打ち方って、みんなカッコ良くて惚れ惚れしますよね。
YouTubeの動画なんて、気付いたらいつまでも観てしまいます。
雑誌の連続写真だったり動画の一時停止で「写真」として観ても、どこで切り取ったコマもカッコ良い。
そのカッコ良さの秘密は、
- ダイナミックなフォーム
- スムーズな運動連鎖
この2つが全てと言っていいかも知れません。
常に理想的なラケットワークで、全身を上手く使って力強くボールが放たれる。
無駄な動きがとても少なくて、運動連鎖がキレイに行われている。
その結果として、あの魅力的な「身のこなし」を僕らは見ることができてます。
noren
だから、プロのようなダイナミックでカッコイイ打ち方をイメージして、それに寄せてみてください。
その価値は大いにあります。
くり返しになりますが
力強く打てる技術は、ボールをコントロールする技術にもつながる
からです。
ただし、カッコよさを意識しすぎてハチャメチャになってはダメですよ。
脳内に最高のイメージを刷り込んで、それを再現した結果カッコよくなる
というのが正しいです。
- イメージの重要性
- イメージのつくり方
については↓の記事でがっつり解説してますので、興味があれば覗いてみてください。
テニスのメンタルトレーニング②:「普段なにを考えているか」自分のフォームを撮って見たり周りの人たちを見ていると、
- プロのようなキレイさからは程遠い
- どこか「ぎこちなさ」がある
なんて感じちゃいますよね。
これはレベル問わず、誰だってそんなもんです。
それはそれで、自分の形として安定してて自信があるなら、ひとつの完成形ではあるかも知れません。
とはいっても、高いレベルに行くためには
「常に変わり続けていくこと」
が必要というのも、また真理。
「力」が無くても「パワー」は出せる!
ここまで「パワーの大切さ」を説いてきましたが
「そんなこと言ったって、私は力なんてない…。強くなるのは無理なのかな?」
と不安になった人はご安心を。
力が無くても十分強くなれます。
というか、
テニスに「力」自体はそんなに要りません。
noren
本当に屈強なフィジカルが必要になるのは、プロを目指す人たちだけでしょう。
僕らは物理的に力持ちである必要はないんです。
実際に、「体格が良くて力のある人」よりもずっと良いボールを打てる「華奢な人」はゴマンといます。
そりゃ、「素手で闘ってこいや」と古代ローマのコロッセウムに放り込まれたのなら「力」が必要ですよ。
でも、テニスは「ラケット」「ボール」を介して、「ネット」「コート」という枠組みの中で戦うもの。
それを上手く使うことを考えるのが大切です。
力が無いからこそ、しなやかなフォームが身につくことも多いですしね。
何度でも言いましょう。
力が無くても、強いボールは打てます。絶対に。
なので、お願いだから「自分は力が無いから」と匙を投げないでください。
ある程度はボールに強さを出せないと、
一定以上パワーの差がある相手に対してはいつもジリ貧な展開になる
というのを避けられないのは事実です。
くり返しになりますが、非力でも良いショットを打つために大事なのは
少ない力で大きなパワーを出せる効率の良いスイング。
さっき説明した↓をいつも意識していきましょう。
- 適度に脱力して、身体全体がしなるように動くこと
- タイミングよく力を乗せて、ラケットヘッドをスムーズに加速させること
- ボールをラケット面に厚く当てて、ホールドする感覚で打ち出していくこと
ちなみに、力がある人ほどパワープレーに頼り過ぎてしまうケースもあります。
でも、アマチュアレベルの僕らがパワーだけでいこうとしても絶対に限界が来ます。
noren
「力強く打てればそれだけで強い」とは言いましたが、それはあくまでベースの話。
力だけで勝ちきれない時には
コントロールによる引き出しの多さ
が必要になってきます。
- いろいろな場面に柔軟に対応する
- いろいろな球質やテンポを作って相手に慣れさせない
というプレーです。
「引き出しの数」については↓の記事でもふれてますので、興味のある人はぜひご覧ください。
「量」を増やせば「テニスセンス」は誰でも身につけられるこういった部分は、非力な人ほどその「柔軟性」を活かせるフィールドなんですよ。
まとめ:力強さをベースにして戦い方を広げていこう!
今回は、パワーとコントロールについての考え方をシェアしました。
大事なポイントをまとめておきます。
- まずは「ボールを強く打てる技術」が大事
- パワーを無駄なくボールに伝えること
- 強く打てるとコントロールに必要な基礎も身につく
- その基礎とは、「インパクトでボールを持つ」感覚
- コントロールよりもパワーのほうが後から身につけるのが難しい
- パワフルに打てたほうがボールを安定させやすい
- 非力でも、身体とラケットを上手く使えば強いボールを打てる
- パワーだけじゃなく、コントロールによる引き出しの多さも大切
つくづくテニスって、上達しようとすると本当に色んなものを鍛えないといけないですよね。
でも、それでこそ「やりがい」があるってもんです。
時間はたっぷりあります。
ほんの一歩だけでも前進して、テニスの楽しさを改めて実感する。
それをいつまでも続けていきましょうよ。
今回はここまでです!
また来てね:)