試合前夜、当日のことを想像するとドキドキして不安になる。
試合当日、出番が来るまでソワソワして気持ちが落ち着かない。
今日も日本全国、いや全世界で、いったい何人のプレーヤーがこういう気持ちを味わってるんだろう?
そう思えるくらい、誰もが人知れず感じている
「試合前あるある」
なんじゃないでしょうか。
かく言う僕ももちろんその一人。
今でこそ「どっしり」と構えられるメンタル的な余裕を持てるようになってきましたが…
学生時代や、大人になってからも
noren
というのはいつも思ってました。
そんななか出会った、ひとつの面白いアイデア。それが
『頭文字D』
です。
今なお根強い人気を誇る、名作漫画・アニメ。
若者たちが峠道を車で競争する「バトル」を描いた作品です。
何が面白いかって、
数々の実在する名車の登場や臨場感たっぷりのバトルそのものも然ることながら
キャラクターの心情の描写がとにかく素晴らしいんです。
- 人間の精神面
- 勝負に臨む姿勢
- ものごとの捉え方
など、各キャラのひとつひとつのセリフや表情、ストーリーに対して
共感したり学んだり刺激を受けたりできる部分がとても多いんです。
だから、見ていて物凄く引き込まれるんですよね。
noren
そんな魅力たっぷりの作品から、
とある人物の名言(僕的)
を今回はご紹介してみます。
ほんの短い一言だけれど、勇気をくれる力強い言葉です。
目次
息子の勝利を確信するオヤジの、ぶっきらぼうで温かい激励
早速ですが、その名言とはコレです。
なんだ、勝つ自信がねぇのか?
藤原文太
普通に走りゃ負けやしねぇよ
なんてカッコイイ言葉なんだ…!
何気なく「さらっ」と放ったセリフですが、僕には全ての「闘う人たち」への最高のエールに思えてなりません。
この漫画を見たことが無くても理解できるように、このセリフに至ったいきさつを要約しておきます。
興味のある方はどうぞ。
既にイニDファンの方は、ニヤけながら見てください。
noren
いつも気だるそうな雰囲気の高校生、藤原拓海。
彼の父親の藤原文太は、渋川市で小さな豆腐店を経営する、一見「ぶっきらぼうな普通のオヤジ」。
しかし、そう見えて実際は走りを極めた峠のスペシャリストです。
このオヤジが最高に渋くて、僕はめっちゃ好きですね。
拓海の
「物静かだけど実は頑固で熱いものを持っている」
ってキャラもすごく好きです。
文太は、作った売り物の豆腐を自家用車である
「ハチロク」(車名:トヨタ・スプリンタートレノ 型式:AE86)
に積んで湖畔のホテルに卸しに行くという役目を、何年も前からずっと拓海に無理やりやらせていました。
…中坊に無免で走らせるなんて、違反どころか下手したら死人が出かねない狂気の沙汰です(汗
まあ、さすがに最初は横に乗ってレクチャーしたんでしょうけど。。
拓海は走り屋でもなんでもなく運転が好きなわけでもないので、嫌々仕事の手伝いをさせられてきたわけですね。
雨だろうが雪だろうが、毎日毎日夜明け前に起きて、ハチロクを運転して豆腐を配達します。
![mountain road](https://tennis-noren.com/wp-content/uploads/2019/11/128-mountain-road-840x560.jpg)
しかし、これは単なる仕事の手伝いじゃなく
文太が密かに拓海に仕込んだ英才教育
だったんです。
拓海が配達に出発する時、文太は必ず
「水の入った紙コップ」
をハチロクのカップホルダーに置かせます。
「水をこぼさずに走れ、そうすれば急いでも豆腐は傷まない」と。
ただ
拓海的には劇的にメンドイ
ので、とにかく早く終わらせて帰りたい。
そのため、できる限りすっ飛ばして「秋名山」の峠道を駆け抜けます。
この
「水をこぼさずに速く走る」
という練習を強制的に続けさせられるうちに、
拓海は自分でも気づかないうちに類稀なるドライビングテクニックを育んでいきます。
本人曰く、
「帰りの下り道では、豆腐が車に載っていないから全力ですっ飛ばして帰る」
とのこと。
それによって、的確なブレーキング技術や、車を滑らせながらコントロールする能力も磨いていきます。
文太はというと、
拓海が運転したハチロクのタイヤの状態を見ただけで、彼の走りがどんなものかを手に取るように把握します。
全知全能のネ申ですかあなたは。
![tire](https://tennis-noren.com/wp-content/uploads/2019/11/130-tire.jpg)
そしてある日。
いつも通り配達をしていると、前を走る一台の車に追いつきます。
それは、とても有名な走り屋である高橋啓介が運転する
「FD」(車名:マツダ・RX-7 型式:FD3S)
でした。
啓介は、お兄ちゃんの高橋涼介がリーダーを務める強豪チーム「レッドサンズ」の一員。
ちなみにこの弟クンは「ええとこのボンボン」且つ「元暴走族」という面白いコです。
もちろん拓海はそんなこと知らないし関係ないので、
「黄色いFD=高橋啓介」
などとは一切知る由もありません。
このとき、
拓海が速すぎて啓介の車をあっさり抜き去ってしまいます。。
啓介は右カーブの先にあるキツイ左カーブに備えて減速したのに、拓海がそこへ猛スピードで突っ込んでいったからです。
![racing on mountain pass](https://tennis-noren.com/wp-content/uploads/2019/11/131-racing-on-mountain-pass-840x560.jpg)
しかし、これは拓海のミスではなく確信犯。
慣性ドリフトによってその連続カーブを華麗にクリアし、啓介の目の前から一気に消えていきました。
noren
当然、拓海は勝負したわけじゃなくて単に早く配達を終わらせたかっただけです。
なんとも皮肉な。。
啓介は、今までに感じたことのない屈辱を味わいます。
「自分は強豪チームの中でNo.2の実力者なのに、型遅れの車にあっさり負けた」
という現実に苛立ち、我慢なりません。
そして「絶対にリベンジをかましてやる」と誓ったんです。
(全部書きたいけど、このあたりはだいぶ省略します)
拓海は、啓介から間接的に宣戦布告を受けました。
ところが
「挑戦されたら受けなきゃいけない」
という走り屋のノリが理解できず、拓海はこれを頑なに拒否。
訳あって、文太が拓海をやる気にさせてやる必要がでてきました。
文太の作戦とは…
拓海が女の子と車で出かける予定の日がありましたが
- 「その日は俺が車を使うからダメだ」
- 「どうしてもっていうなら、そのバトルを受けて勝ってこい」
- 「そうすれば、ガソリン満タンのオマケ付きで車を貸してやる」
というもの。
noren
金欠な拓海はこの条件にグラっときますが、それでも即決しません。
そしてバトル当日。
時間が刻々と迫る中、拓海はまだ家にいました。
このシーンで、例のセリフが飛び出します。
文太「どうだ、行く気になったか?」
拓海「あんまり気が進まねぇなあ…」
文太「なんだ、勝つ自信がねぇのか?
普通に走りゃ負けやしねぇよ 」
first stage ACT.2 「リベンジ宣言!ほえるターボ」より
その頃、バトルの舞台では…
啓介、涼介、拓海の仲間、集まったギャラリー達が皆、首を長くしてハチロクの到着を待っています。
![forest at night](https://tennis-noren.com/wp-content/uploads/2019/11/132-forest-at-night-840x525.jpg)
時間になってもハチロクが来ない。
仕方なく、啓介の対戦相手として別のメンバーが代理でスタートラインにつくことに。
そしてバトル開始のカウントダウンを始めようとしたその時。
拓海の乗るハチロクがついに現れました。
啓介のリベンジマッチの結果はどうなるのか…??
…と、あらすじはこんなところです。
主人公の藤原拓海は、一度バトルして勝った相手からリベンジマッチを申し込まれていました。
本人は豆腐の配達をしていただけで、勝負をした自覚は無かったわけですが。。
それに対して今ひとつやる気がおきず、「うーん」と悩んでいたんですね。
気が乗らない拓海に対して、父親である藤原文太が
背を向けたままで新聞を読みながら軽くこぼしたセリフ
なんです。
僕は、彼のこの言葉が大好きですね。
拓海の場合はバトルの勝敗に対してナーバスになっていた訳ではないですが…
「普通に、いつもどおりやれば勝てる」
「自分に出せるものだけ出せばいい」
こういうメンタルは、僕らがテニスの試合に向かうときにも必要なものに思えます。
noren
等身大でいい。普段どおりにやればいい。自信を持って!
![game at stadium](https://tennis-noren.com/wp-content/uploads/2019/11/132-game-at-stadium-840x473.jpg)
「試合」っていうのは、やっぱり普段とは違った特別な場所ですよね。
まあ、別に負けたってドローから消えるってだけの話ですが、
実際には「勝ち負け」がより大きな意味を持つかのように感じてしまうものです。
でも、
特別な場所だからといって、自分が特別な能力を発揮できるわけじゃありません。
それまで積み重ねてきた中で「自分のものになっている部分」が出る。
それだけのことなんですよね。
なので、
変に「うまくやろう」と思うと、かえって自分自身にプレッシャーを与えてしまいます。
試合で勝ちたいのなら、むしろ「普段どおり」プレーに集中したほうが良い結果になりやすいです。
![coffee break](https://tennis-noren.com/wp-content/uploads/2019/11/133-coffee-840x551.jpg)
試合前にソワソワしたりドキドキしたりして落ち着かないのは、
「相手はどんなレベルかな?上手くやれるかな?」
という不安や緊張の表れ。
余計なことは考えず、
「相手が誰だっていいや。やれるだけやろう」
くらいの気持ちでいれば、不安や緊張が少し和らぎますよ。
もっと言えば、その「ソワソワ」や「ドキドキ」を
「次はどんな人とテニスができるんだろ?早く自分の力をぶつけてみたい!」
という「ワクワク感」にすり替えてしまうのもオススメです。
僕は近年、試合に出る時は結構こういう気持ちになります。
無理に自分の感情を抑えようとするんじゃなく、むしろそれを利用して楽しんでみたっていいじゃないですか。
noren
拓海くんも、作中ではこんなセリフを言ってくれてます。
それがどこまで通用するのか試してみたい…。
みんなが速い速いっていうGT-Rに、俺が今できる全てをぶつけてみたい…。
こんな気分になったのは初めてだ…
first stage ACT.8 「タイムアップ寸前!」より
※「それ」=「他の誰よりも多くこの道を走り込んできた」こと、自分が積み重ねてきたものを指しています。
※「GT-R」=「ナイトキッズ」のリーダー・中里毅が乗る「R32」(車名:日産 スカイラインGT-R 型式:BNR32)を指します。
誰が来ようと同じだよ、自分が知ってる一番速い走り方で走るだけさ。
それより相手の方が速けりゃ負けちゃうし、遅けりゃ勝っちゃうし…
first stage ACT.24 「赤城の白い彗星!」より
※最強の走り屋・高橋涼介とのバトル2日前のセリフ。相手に合わせて作戦を立てられるほど器用じゃないから、と言っています。
まさに、
- 本番を楽しみにする気持ち
- いつも通りやればいいという楽観
を見て取れますよね。
こういうメンタル状態でいれば、余計な感情は自然とそぎ落とされていきます。
「ベストパフォーマンスを出すには適度な緊張も必要」と言われているので、無理に「緊張」を追いやろうとしないこと。
余計に緊張感が高まってしまい兼ねません。
そうではなく、
「楽しむ心」と「いつもどおりの自分」
にフォーカスして、本番に臨みましょう。
まとめ:せっかくの試合、ありのままの自分で存分に楽しもう!
今回は、試合前に不安や緊張に襲われてしまうときに思い出してほしい
「豆腐屋のオヤジの名言」
をご紹介しました。
簡単にまとめをしておきます。
- いつも通りの自分を出すことが、結果的に勝利への近道になる
- 余計なことを考えて自分にプレッシャーを与えないこと
- 試合に負けても「ドローから消える」以外のことは何も起こらない
- ドキドキするなら、「試合が楽しみでワクワクしてるんだ」と思い込む
- 『イニシャルD』は、面白いだけじゃなくメンタルの学びも得られる傑作
今回お話ししたのは、あくまで僕の好きなアニメから得たヒント。
「自分の好きなもの」からは色んなものが伝わってくるし、モチベーションUPにつながるものですね。
好きな漫画、アニメ、音楽、ドラマ、映画、小説などなど、
ぜひ色んなところからアイデアを得てテニスに持ちこんじゃいましょう。
今回はここまで!
また来てね:)