「シコラーはダサい」
「カットマンはカッコ悪い」
そう言われることもあります。
でも、そうは言っても実際に試合で相手にスライスを打たれるとどうでしょう。
攻めたくても攻め込めなかったり、しっかり打ち抜けなかったりして嫌な感覚にハマってしまうこと、ないですか?
これは、おそらくほぼ全員が経験する「壁」であり、「あるある」ですよね。
- 攻撃的で「速く滑ってくる」「重たい」スライス
- しつこくラリーを繋いでくる「イヤらしい」スライス
どちらもホントに厄介です。。
ある日、僕のテニス仲間からこんな話が出てきたこともあります。
スライスを返すときって、スライスかスピン、結局どっちを使ったほうが良いのかな?
そこで今回は、
- どういうのが良い返し方なのか、考え方を知りたい!
- スライスの返球が苦手で何とかしたい!
という方に向けて、次の内容についてお伝えしていきます。
- スライスの返球が苦手な人がまず理解するべき心構え
- スライスとスピンの選択に対する考え方
- スライスを上手く返すためのヒントとなるアイデア集
「アタマ」と「カラダ」を動かして、苦手意識を捨てていきましょう!
少々ボリュームのある記事になっていますので、「きょうの結論」に目を通したあとは目次からジャンプしてお好きなところからどうぞ。
目次
きょうの結論
さっそく結論からいきましょう。
「スライスの返球が苦手」と感じているあなたにまず意識してもらいたいことは、次の3つ。
- 返し方の前に、相手のスライスをいかに見極められるかが最重要
- 1で見極めた「どんなスライスか」に応じて動き方を切り替える
- 2を行うために、足を細かく動かすことを忘れない
このあと順に詳しく説明します。
そしてもうひとつ、スライスの返球に適しているのはスライスかスピンのどちらなのか。
状況次第でどちらが有利かは変わってくる
というのが結論です。
これもちゃんと具体的に説明していきますのでご安心を。
先に概要をざっとまとめるとこんな感じです。
- 初心者~中級くらいでまだあまり自信がない場合、スライスで返すのが安全
- ただし、スライスだけでは限界がある
- 中級を脱すると、スピン系でシバき返すほうが安全だと感じる場面が増えてくる
- 低く滑ってくる攻撃的はスライスに対しては、スライスで返すのが安全
- 走らされて打点が遠い場合はスライスで返すのが安全
- 体勢に余裕があって相手を揺さぶりたい場合、スライスを上手く使うのが有効
つまり…
レベルが上がるほどスピン系をメインに使う。
安全に守りたいときはスライス。
甘めのスライスが来て「攻め崩したい」と思ったときはスピンとスライスを自由に使い分ける。
というのがざっくりしたイメージです。
noren
返し方の前に、相手のスライスをいかに見極められるかが最重要
まず、「スライスが上手く返せない」という人に一番多い特徴を知っておきましょう。
それは
相手のスライスの球質を見極められていない
ってことです。
スライスの見極めを間違える
↓
ボールへの入り方を間違える
↓
タイミングの取り方やボールとの距離感を間違える
↓
ボールをコントロールできない
という構造になってしまって、どうにも上手く返せないわけです。
逆に言えば、
見極めと判断への迷いさえなくなればスライスはあまり怖くなくなる
ということ。
その「見極め」の方法は、
- スライスが来ること自体をいち早く察知する
- 相手のスライスの「スピード」「回転」を見る
です。順に見ていきましょう。
スライスが来ること自体をいち早く察知しよう
相手がボールに入るときの「構え」に目を向けていますか?
- ラケットの持ち方
- ボールへの入り方
あたりを見れば、
「これはスライスでくるな」
というのは誰でも比較的簡単に見分けられるはずです。
単にちゃんと見てるかどうかだけの問題なので、ここはさっさとクリアしてしいましょう。
これを活かして頭の中で1テンポ先回りすることで、見極めと動き出しを早くすることができます。
noren
この「出だしの良し悪し」は、その後の動きやスイングの良し悪しに直結するのでめちゃくちゃ重要です。
深く考えなくても直感的に判断できるようになるまで、クセづけていきましょう。
相手のスライスの「スピード」に対する意識のしかた
あなたの主観で構わないので、相手がスライスを打ったら瞬時に
noren
noren
のどちらかを2択で判断してください。
別に言葉にしなくて良いので、「感覚的に」です。
この感覚は人によって違うので、あくまで「自分がどう感じたか」を頼りに動けばOK。
大事なのは判断の早さなので。
速いか遅いかを判断したら、シンプルに次のことを意識してみてください。
- 「速いな」と思ったら…
ラケットの準備をいつもより早くして、スイングできる状態を早く作り終える - 「遅いな」と思ったら…
ギリギリまで細かいステップを踏みながらボールを最後まで呼び込む
この判断自体には「間違い」は存在しないので、思い切っていきましょう。
noren
普段から常に「相手が打ったらすぐ判断!」をクセにすると良いですよ。
相手のスライスの「回転」に対する意識のしかた
「スピード」に対しては判断の間違いはないと言いましたが、
「回転」に対しては間違いがよく起こるので気を付けましょう。
スライスの返球が上手くいっていない人には、こんなケースがすごく多いです。
- バウンド後に伸びてくるスライスに対して、良い位置に入るのが遅れている
- バウンド後に止まるスライスに対して、ポジションが後ろすぎて打点が合わない
- バウンド後に横に動くスライスに対して、近づきすぎや離れすぎで打点が合わない
心当たり、ありますよね?
スライスは、打ち方によっていろいろな変化をつけることができるショットです。
そのぶん、打たれた側は回転を見極めて、素早く良い位置に入らなければいけません。
そのために大事なのは、横着せずに足を細かく動かすことです。
その上で、さっき挙げた3パターンごとに球質と対応のしかたを考えてみましょう。
①軌道が直線的で、スピードが速いスライス
これは、バウンド後に伸びてきます。
それに対して良い打点でインパクトするためには、とにかく
- 素早くボールに追いつく
- 素早くテイクバックする
- 早めにラケットを前に出していく
というのを徹底しましょう。
でないと、間違いなく振り遅れてしまって上手く返りません。
特にハードコートなどバウンドが早いサーフェスでは要注意。より意識を強く持ちましょう。
②軌道がフワッと浮いていてスピードが緩いスライス
これは、バウンド後に勢いが死にます。
スライスが強くかかったロブなんかも同じですね。
それに対して良い打点でインパクトするには、
- 下がりすぎに注意!ポジションは思ったより「前」
- ボールを身体の横までしっかり呼び込む
- インパクトまでボールを凝視する
という意識をしてください。
でないと、身体がつんのめったり、打点が前になりすぎます。
薄くて不安定なインパクトになること請け合いです。
特に①のポジションを間違えて、バウンド後に慌てて前のめりになっている人が本当に多いので注意しましょう。
③サイドスピンがかかったスライス
これは、バウンド後に横方向に動きます。
それに対して良い打点でインパクトするには
- 身体に食い込んでくるのか?
- 外側に逃げていくのか?
を見極めなきゃいけないんですが…
正直、これは結構「慣れ」というか「場数」が必要です。
球筋やスピードだけでは判断が難しいからです。
こればっかりは経験を積むしかないんですが、イメージを掴むには
- プロの試合を見たり、周りの人のプレーを観察する
- 自分でもスライスをたくさん打ってみる
というのをおすすめします。
逆に言えば、そうやって経験を積んでいけば自然と理解できてくるものなので安心してください。
以上が3パターン別の考え方です。
こんなふうに
- 「打ち方や球筋とバウンドの関係」を直感的に理解する
- 1を活用して、良い位置を素早く見つけて駆けつける
というのは、どんなシーンでも大きなアドバンテージになります。
ぜひとも意識してみてください。
この力を高めるのに必要なのは、色々な人のプレーに興味を持つことです。
- たくさんのプレー(打ち方)を観察する
- たくさんのイメージを脳内に刷り込む
そうすると、感覚的に理解が深まっていきますよ。
セオリー①:スライスで返すほうが難度は低いがデメリットもある
「ディフェンスにはスライスが適している」
というイメージは何となくあると思いますが、それで概ね正しいです。
薄いグリップでスライス系のボールを打ったほうが、スピン系よりも返球の難度は低い
「スライスのほうがやりにくい」と感じる人もいるかも知れませんが、それは単にスライスで打つのに慣れていないだけの可能性が高いです。
スライスのほうが難度が低い理由は、
- 薄いグリップのほうが面の向きを相手コートに向けやすい
- スライスのほうがスピードを抑えてコートに入れやすい
の2つ。
薄いグリップのほうが面の向きを相手コートへ向けやすい
ボールを安全に運びやすいと言い換えてもいいですね。
グリップが薄いほうが、インパクト~フォロースルーにかけてラケット面が相手コートを向きやすいからです。
試しに、ラケットを持ってフォアハンドのインパクトの形にしてみてください。
利き手でラケットを持ったまま、手首や掌の角度を変えずにグリップを厚くしたり薄くしたりと反対の手でクルクル回してみてください。
すると、
- 厚いグリップ⇒面が下を向く
- 薄いグリップ⇒面が上を向く
というのが分かると思います。
つまり、「相手のコートへ返す」ことに焦点を当てた場合、
「相手のコートのほうへ面を向けやすい薄いグリップでボールを打ったほうが物理的に簡単」
というわけですね。
スライスのほうがスピードを抑えてコートに入れやすい
基本的に、スピン系よりスライスのほうがスピードのコントロールが簡単です。
スライスだとしっかり打ったとしても出るスピードはたかが知れているし、ゆるくボールを運ぶのもやりやすいので。
例えるなら、
- スライス=パワーの小さい軽自動車
- スピン系=ハイパワーの乗用車
みたいなイメージでしょうか。
パワーが小さい軽だと、アクセルをある程度強く踏んでもスピードの出方は穏やかなので安心してコントロールできる。
ハイパワー車だと、少しアクセルを踏み込んだだけで急加速するので細かいコントロールをするのが難しい。
スライスとスピンの返球の違いは、イメージ的にはこの関係に近いものがあります。
スライスを使ってミスを防ぐのも大切だけど、デメリットにも目を向けよう
ここまでお話ししたとおり、シンプルに「ミスの確率を下げる」という観点で言えば、スライスで返すのが良いでしょう。
試合ではスライスで逃げざるを得ない場面も出てくるし、「ミスをせず1球でも多く返せたほうが勝利する」という側面もあります。
ただし、注意して欲しいのは
スライスにもデメリットがあるということ。
なんとなく想像がつくと思いますが
- 相手にしっかり構えて打つ時間を与えてしまう
- ダブルスでは、前衛のポーチに捕まりやすくなる
- 上手い相手だと、スライスの構えをした時点で先回りされて狙い打たれる
といったところです。
つまり、「安全を取ってスライスで返す」しか選択肢がない状態では限界があるんですよね。
脱・中級を目指している方は、もう少し後で説明する「スピン系でシバく返球」にもチャレンジしていきましょう。
※最後の「スライス返球のパターン集」では、デメリットを逆手に取る方法にも触れていますので参考にしてください。
セオリー②:低く滑ってくる良いスライスに対してはスライスで返すのが安全
良いスライスというのは
- 軌道が低くて直線的
- スピードがのっている
という特徴があります。イメージとしてはこんな感じ。
こういうボールに対しては、スライスで返した方がミスになりにくいです。
その原理は、さっき説明したグリップの特性によるものです。
スライスを打つときはグリップを通常時より薄く握るので、安全にボールを運びやすい、ということでしたね。
※スイングの方向は「インサイドアウト」だとか「アウトサイドイン」だとかの小難しい話もありますが、分かりづらくなるので割愛します。
薄いグリップだと低い打点でも面が下を向かないため、ネットにかけてしまうミスを防ぎやすいです。
対して、スピン系で返そうとするとスイングの軌道が全然違います。
まず、
スライスで打つ時に比べてグリップが厚いので、面が下を向きやすい
というのがひとつ。
これは、自分の体勢が崩れたときほど体感しやすいはずです。
そしてもうひとつ、スピンをかけるためにはボールの下から上に向かってスイングする必要があるので
低いボールの下にラケットを潜り込ませないといけない
という難しさがあります。
さらに言うと、
相手の良いスライスが浅く入ってきた時はもっと難しくなります。
理由は
「ネットを越えて尚且つアウトしないためには、よりスピンが必要になる」
というところ。
- 深く入ってきた場合
⇒ネットから距離があるので、フラット系でも返せる - 浅く入ってきた場合
⇒ネットから距離が短いので、山なりの軌道にしないと入らない
こんなふうに、低く滑ってくる良いスライスをスピンで返すのは
なかなかシビアなラケットコントロールが必要
なんですね。
「リーチの違い」を考えても薄いグリップが有利
さらにもう一つ、薄いグリップのメリットがあります。
それは、「リーチの違い」。
スピンよりもスライスでの返球の方が、ボールへの届き方に少し余裕があります。
理由はさっきと同じで「ラケットフェイスの向き」です。
スライスが厳しいコースに来て、横に走らされた
という場面を想像してください。
腕を伸ばして、遠いボールを捕まえないといけませんよね。
そのとき、グリップが厚いと必然的に面が下を向いてしまうんです。
もちろん、厚いグリップで上手く返すことも可能は可能です。
でもグリップの基本的な特性そのものは変わりません。
以上が、基本的なセオリーです。
- スライスを安全に返したい
- とりあえず相手コートに入れてミスを避けたい
という場合は、無難な選択は「スライス」ですね。
スピン系で「シバく」技術も必要!思い切って振り抜こう
ここまでは、「スライスで安全に返す」ということについて説明しました。
それはそれで必要なスキルではあるものの
スライス一辺倒ではやっぱり限界があります。
よほど攻撃力のあるスライスを打てれば話は別ですが、それでも相手は徐々に慣れてきちゃいます。
そこで必要になるのが、
「フラットドライブやスピンで力強く跳ね返す」
という返し方。
一定のレベル以上のプレーヤーは皆やってる常套手段です。
これができると、
- ラリーの主導権を握る
- 相手を追い詰めていく
というのができるようになります。
noren
力強いスイングが安定の秘訣!当たりは厚く、上に向かって振りぬく
少し意外かも知れないんですが、相手のスライスをスピンで返す場合は
力強く鋭いスイングを心がけたほうが安定します。
これは、相手のスライスに勢いがあればあるほど大事になってきます。
良いスライスに対して中途半端に置きにいこうとすると、かえってコントロールがきかないんですよ。。
なんでかって言うと
ボールの回転や重さに負けて、ラケットフェイスがはじかれてしまうから。
noren
なので、良いスライスをスピン系で返したいときは
- 手打ちにならないように、脚を曲げて腰を落とす
- しっかり厚い当たりでボールを捉える
- 「ビュンッ」と音が鳴るような鋭いスイングをする
の3つを意識するのがオススメです。
…ちょっと待てと。
スピンをかけたいのに「厚い当たりで」ってどういうこと??
と感じた人もいるかも知れません。
確かに「ただ厚く当てただけ」じゃ回転はかからないんですが、
- 鋭くスイングする
- 斜め上方向に向かって振りぬく
を意識すれば、厚い当たりでも自然と質の良い順回転がかかります。
逆に、回転をかけたいからといって
薄く当てて「こする」ようなイメージで打ってしまうと、ガシャってミスショットになりやすいのでやめましょう。
ミスになる理由は、「ボールとラケットフェイスの接点が狭くなってしまう」から。
「わざと引っ掛けるようにしてスピンをかけたい」みたいな場面はちょっと別ですが…
基本的には厚い当たりで打ち抜くことで安定させましょう。
ひとつ注意したいのは、
厚く当てたとしてもスイングの方向が悪いと上手く返りません。
斜め上に向かってフォロースルーを取ることが大事で、
「横振り」になってしまうと、回転がかからずコントロールできません。
僕は気をつけないと横振りになる傾向があるので、このことはイヤというほど体感しています。。
こうならいように意識しているのは
「相手のスライスのスピードや重さ」と「ラケットを振り上げる方向」を比例させる
というようなイメージ。
練習の時は、
「自分のイメージ通りの軌道でボールが飛んでいるか?」
を感じるようにすると上達が早いですよ。
- イメージよりも弾道が高すぎる
⇒もっと当たりを厚く、フォロースルーを前に出すようにして直線的にボールを飛ばす - イメージよりも弾道が低すぎる
⇒もっとラケットを上に振り上げてスピンを多くかけ、山なりのボールにする
という塩梅です。
いろいろと試して、その結果を見て次どうするかを考えていきましょう。
noren
スライスとスピンの使い分けは自由!不規則に使うと相手はやりにくい
ここまで説明したとおり、スライスに対する返球のしかたは大まかに言うとこんな考え方です。
- 厳しいスライスには、スライスでの返球が安全
- 低いボールの処理は、グリップと面の向きの関係でスライスのほうが有利
- 遠いボールの処理は、リーチの違いの関係でスライスのほうが有利
- しっかり振り抜ける体勢にあれば、フラットやスピンで力強く打てると安定して強い
自信が無いうちは、
- スライスを多めに使ってミスを避ける
- 打てそうなボールはスピン系で打ってみる
というような使い分けが良いでしょう。
それに慣れてきたら、自由な発想で球種を織り交ぜていくのをオススメします。
noren
例えばバックハンドでのクロスの打ち合いで、
打てるボールが来てももう一度スライスを深めに入れて様子を伺う
というようなことはプロ選手の試合でもよく見られます。
逆に、厳しいボールでも思い切って強く打ちにいくと、上手くいけば効果的なカウンターショットになります。
セオリーに従ったり、セオリーを崩してみたり。
そうやって自分の好きなようにショットをランダムに選んでいくと、
- 相手はペースを掴みにくく、「やりづらい」と感じる
- 自分が主導権を握っていると感じられて、メンタル的に優位に立てる
といったアドバンテージがありますよ。
noren
スライスの返し方はいろいろ!自分の得意なパターンを増やしていこう
ここからは、
スライスが来たときに有効なテクニックや小技
を紹介します。
全て、僕も実際に使っているものです。
返し方の選択肢をたくさん持っておくと、ディフェンス面でもオフェンス面でもとっても役立ちますよ。
noren
ちなみに、
ここで紹介しているテクニックは「シコラー対策」としても一役買います。
詳しくは、↓の記事をチェックしてみてください。
① フォアに回り込んで強く打ち込む
まずは割とオーソドックスな戦法から。
シングルス、ダブルス両方で使えます。
バック側にスライスを打たれるケースは結構多いんですが、そのとき
- コースが甘い
- スピードが遅い
- 浮いてきている
というようなスライスと感じたら、「チャンスボールだ!」と察して
攻撃のスイッチをバチンと入れてください。
noren
いつも必ず回り込まないといけない訳じゃありません。
でも、選択肢のうちの一つとしては必ずできたほうが良いです。
理由は主に2つ。
- 回り込むとコースを隠しやすい(読まれにくい)
⇒相手の時間を大きく奪える! - 視覚的に「攻められている」と感じさせられる
⇒物理的にも精神的にも優位に立てる!
「相手のスライスにスピードが無い」=「こっちには準備する時間がある」
ということに気づきましょう。
- 自分に時間ができた時の見極めが早い
- チャンスを逃さずに攻撃していく
というのは、上手いプレーヤーの共通点です。
「時間」の使い方については、↓の記事で解説しています。
ちなみに、「フォアに回り込む」といっても
- 相手が打ってきたコースが良くて回り込めない
- 出足が遅れて、回り込んだら食い込まれそう
って時は、無理は禁物。
それとバックハンドでも攻撃したい人、そして
強く打てないからフォアに回り込んでも打ち込めねーよ!
という人は、こちらの記事を参考にしてみてください。
noren
② フォアに回り込んだ上でフェイントを使う
さっきの話の続きです。
フォアに回り込んだら
強打だけじゃなく、あえてスライスを使う
というのもなかなかに有効ですよ。
相手の気持ちになって考えてみると、分かりやすいです。
あ、回り込んでガッツリ構えられてる!
そう感じたら、次にどうしますか?
おそらく、「強く叩いてくる」と思いますよね。
少し後ろに下がって、しっかり構えたくなるはず。
この心理を利用して、逆をつくわけです。
- フォアハンドで強烈に打ち込むフリをしておく
- そう見せかけて、スライスをちょっと浅めに打つ
と、演技をキメてみてください。
サービスラインあたりの浅さに打つだけでも、十分相手を崩せます。
noren
恥ずかしがらずに、ちゃんと演じるのがポイント。
アカデミー賞ノミネートを狙ってください。
そうすると、騙されてくれる相手は意外なほど多いんですよ。
一瞬でもペースを乱せると、上手い人にも隙が生まれるもの。
ちなみに、グリップはというと
- スピン系のグリップで構えて、直前でスライスを打つグリップに持ち替える
- フェイントすると決めて、初めからコンチネンタルグリップで握っておく
のどちらでもOK。
最初からスライス用に握っていても、身体全体が打ち込む構えになっていればそうそうバレません。
「ドロップショットのコツがいまいち分からない」
という場合は、↓の記事をどうぞ。
③ フェイントを応用させる
②の応用編です。
「強打と思わせて短いスライス」は、思った以上に応用が利いて便利なアイテムなんですよね。
ギリギリまで待ってからスライスのコースを変える余裕を持つことができれば、
相手の読みを上回ってあの手この手で翻弄する
というのが可能になります。
いくつかアイデアを紹介しておきますね。
浅いボールを一度見せると、まず考えられるのは
「同じ手には乗らねぇ!」とばかりにフェイントを読んで、前に走り出してくる
という可能性。
その読みを、もう一回はずして差し上げましょう。
深いところを狙ったスライスです。
裏の裏、つまり表。
裏(ドロップショット)
を1回見せておけば、
表(普通の長いスライス)
が勝手に相手のペースを乱してくれます。
前に走ってくる相手を騙せましたか?
じゃあ、更にもう一手使って相手を惑わせてみましょう。
ストレート方向(ダウン・ザ・ライン)へのスライスです。
ポイントは、
回り込んでフォアのスライスを打とうとすると、たいがいの相手は逆クロスを連想する
ということ。
そのため
- 逆をついた上に長い距離を走らせられるので、体力を削れる
- 上手くいけば相手は反応できず、そのままポイントになる
という効果があります。
参考までに、僕はダブルスで
ダブル後衛を取ってきた相手のサーブに対するリターン
の時にも、コレをやってみたことがあります。
- ドロップショットと見せかける
- 2人の真ん中に長いスライスを打つ
という演技を披露。
すると、2人とも驚いた上にお見合いをしてくれて、そのままエースになっちゃいました。
noren
こういう「騙し」は、どんどんやっていきましょう。
メリットは、「チャンスを作れる」「ポイントが取れる」だけじゃありません。
「コイツ次はどこに打ってくるんだ??」と、
相手が読めなくなっていく(動きを止められる)
ってのが大きいわけです。
これはゲームを進める上で大きな大きな利点。
ですので、こういったフェイントも普段から色々とやっておきましょう。
そうすれば、いざ本番になった時にちゃんと使えますよ。
noren
④ 軽く打って、ショートアングルに運ぶ
これは、スライスがフォア・バックのどっち側に来ても使えます。
普通に考えたら
「浅いボール=甘いチャンスボール」
と思えますよね。
ところが、浅いボールって角度がついていると相手からすると嫌なものです。
ふつう、「角度をつけたボールはパッシングとして打ってくるもの」と思われてます。
あまり予測していないショットなので、急に来ると対応が遅れるんですね。
完璧に打とうとするとかなり難度が高いショットです。
が、後ろのほうに下がってプレーする相手に対しては、そんなに際どいところを狙う必要はありません。
noren
打ち方のポイントとしては、次の3つを意識してください。
- 相手が前にいると仮定して、横を抜くつもりで打つ
- インパクト時の面の向きを意識。いつもよりコート外側に向ける
- フォロースルーの方向を意識。いつもより上方向に向かって振りぬく
後ろの守りを固めている相手だと、
「深いところに頑張って打っても埒が明かない!」
なんて経験ありませんか?
そんな時は、ふと浅いボールで変化を与えると相手を嫌がらせることができますよ。
⑤ バックハンドでスライスをストレートへ
バック側にスライスがきたときのテクニックです。
このとき
スライスの構えをすると、相手プレーヤーの多くは「クロスに来る」と何となく予測して動きます。
スライスはスピードが遅いので、特にダブルスでは上手くコースを隠しながら打たないとポーチの餌食になるんですよね。
こんな場面、結構ありませんか?
そこで、
「スライス=遅い=チャンス!」という相手の心理を逆手に取りましょう。
ここでスライスをストレートに運ぶと、相手がポーチに出ていれば簡単に横を抜くことができます。
ちなみに、これは上手な相手ほどハマってくれやすいです。
なぜなら
「構えを見てスライスだといち早く判断して、相手が打ってくる瞬間にポーチに飛び出す」
なんていうのは、
ある程度経験を積んでいて前衛の仕事をこなせる人にしか無い思考回路
だからです。
noren
通用するうちは、同じ相手にやり続けてもOK。
警戒され始めたら少し控えて、忘れた頃にまた実行してみて下さい。
というのも、
この作戦の真の目的は「裏をかいてパッシングを決めること」じゃありません。
前衛の動きを封じることができると、だいぶプレーしやすくなります。
なので、相手がポーチに出てこずに簡単にボレーで決められてしまっても良いんですよ。
noren
前衛が動くまでボールを引きつけて、
- 動いたらストレート
- 動かなければクロス
と打ち分けられると理想的ではあります。
だけども、変に考えすぎてミスするくらいなら
「相手が動こうが動くまいがとりあえずストレートに打ってみる」
でOK。
それでも「相手を威嚇する」という本来の目的は達成できるからです。
シングルスでも、この作戦は使えますよ。
こちらがバックハンドのスライスを打つとき、やはり相手はクロスを意識するケースが多いです。
そこでストレートへ打つと、一瞬逆をついて相手の時間を少し奪えます。
これがチャンスを広げていくための布石となってくれることは結構多いんですよ。
⑥ ストレートへのスライスロブ
これはダブルスに特化した戦法です。
考え方は、さっきの⑤と一緒。
スライスで返球する場合、相手の前衛だけじゃなくて
後衛も「クロスに来る」という予測のもと動くことが多いです。
そこで、スライスでストレートにロブを打って前衛の頭の上を抜いていきましょう。
基本的には、バックのスライスでロブを打たれることを多くの相手は予測していません。
ゆえに、この状態から前衛の上を抜くのはそう難しくないんですよ。
もう一つ良いことに、ロブにスライス回転をかけておくと、相手の後衛に対して
- 逆サイドへ走ってボールに追いつく
- スライス回転に対応して余分に動く
という二重の対応を強いることができます。
逆にこちらがスライスロブを上げられた場合、味方の後衛が回転を読めてなさそうだったら、
noren
とか
noren
というような声掛けをしてあげると補助ができますよ。
ただし、ロブは一歩間違えればピンチにもなります。
また前衛には捕まらなかったとしても、後衛のチャンスボールになる危険がある。
ミスってロブが甘くなったら、味方に「ケア!」などの声掛けをしつつ自分自身も強打に備えましょう。
⑦ 強打すると見せかけてトップスピンロブ
シングルス、ダブルスともに色んなシーンで使えるワザです。
noren
例えば、ダブルスのこんな場面を想像してください。
- 後衛がスライスを打って前に出てきたけど、そんなに厳しくない
- スライスのかかったボレーが甘めに飛んできた
こういう場合、相手を騙すチャンス。
まずは、例によってフォアに回り込みましょう。
もしくは、バックでも良いので強打しそうな雰囲気を出してください。
すると相手の頭の中はだいたいこんなイメージになります。
しっかりボールを引きつけて強打の構えをすると、無意識のうちに
- 強いボール
- 速くて直線的なボール
- 低く沈んでくるボール
なんかを想像するものなんですよね。
そこで、あえて強打せずにトップスピンロブで前衛の上を抜きます。
強打に備えていた場合、その相手は
全く反応できず諦めるしかなくなる
ケースが多いというのが、この戦法の良いところ。
シングルスでも、
「相手がネットに来ている」且つ「ある程度しっかり構える余裕がある」
という場面がきたら、試しに使ってみてください。
noren
スライスロブと違って、トップスピンロブはボールが前に進む勢いが強いですよね。
そのぶん、チャンスボールが返ってくるか、そのままポイントが取れる可能性大なわけです。
特に、ダブルスは相手が2人もいてオープンコートがそもそも狭いので、
強打だけじゃなく空間を上手く使えるか
がポイントだったりします。
打っても打っても壁のように返ってきて困ったときは、ぜひこの戦法を取り入れてみてください。
この作戦は、②や③で紹介したフェイントと違って
フォアハンドのグリップのまま握り替える必要がない
というのがGOODです。
比較的取り入れやすいので、ぜひお試しください。
まとめ:スライスの返球には、その人の個性やテクニックの深さが表れる!
今回は、スライスへの対応について解説しました。
大事なポイントをおさらいしましょう。
- 相手のスライスのスピードと球質を早く見極めて、良い位置に早く入るのが第一条件
- 厳しいスライスや厳しい体制のときは、スライスでの返球が安全
- スピンで力強く返せると安定して、攻めと守りのバランスが良くなる
- 相手のスライスが甘いと思ったら、攻撃する気持ちに切り替える
- 攻撃する時は強打、スライス、ドロップ、ロブなど選択肢は様々
スライスがきたときにどんなショットを選ぶのか?
そこにはその人の個性やレベル感が表れて、なかなか面白いなと感じます。
多彩なショットを自由に出し入れできるようになるためにも、まずは
- スライスで安全に返す
- スピン系でしっかり振り抜く
という基本的な動作を身につけましょう。
そして、そこを起点にして色んなレパートリーを作っていきましょう。
今回はここまでです!
また来てね:)